読んでもらえる「志望動機」の書き方(基礎知識)
まずは、採用担当の立場に立って考える。
『敵を知り己を知れば百戦危うからず』by孫氏
採用担当者も人です。
自己アピールが1行で終わっている人や、やたら漢字を間違える人を採用したいとは思わないように、読んで「興味が出ない」文書を読むことは苦痛です。
では、どのようにすれば「興味が出る」文章が出来上がるのでしょうか?
「書きたいものをかく」というよりも、「どんな文章であれば読んでもらえるか?」という視点も併せて書いてみると、読み手も楽しく「会ってみたいな」と思わせる文章が出来上がります。
別に「おもしろい」文章を書く必要はないのです。
「志望動機」は、大学時代の自慢を書く場ではなく、「私のこの経験で、あなたの会社のここの部分に役立ちますよ?」という営業活動みたいなものです。
「もし私が採用担当者だったら…」
「志望動機」を読んでもらうには、まず「自分が採用担当者だったら、『面接に通しても良いか?』という」視点だけチェックします。
平凡な文章で良いのです。
「論理的であるか?」という点のみ気を付けます。
くれぐれも「自分が採用担当者だったら、『採用したいか?』」なんて考えてはいけません。
履歴書だけ読んで「うーん、採用!」なんて履歴書、数千枚に1枚くらいの確率です。
そんな華々しい活躍を大学生時代にできる人は、正直就職活動なんてしないで独立した方が儲かります。
「こんなことやったんだぜぇ(ドヤァ」なんて文章、イラっとしますし、「それでなぜわが社?」と思われるようなトンチンカンプンな文章は、それだけで「会う価値なし」とみなされます。
事実を淡々と書きつつ、「だからあなたの会社には私が必要なんだよ!」という結論になるように書きます。
ES(エントリーシート)や履歴書は、そもそも何故書くのか?
もちろん目的があります。
あの膨大に無駄な手書きの時間は、採用担当側から見てもある程度の「根拠」があって行っているものです。
あのA3サイズの紙からは、いろいろな情報が得られますが、目的は「採用時間短縮」というものが大きなポイントになっています。
履歴書は「足切り」。
例えば数百人の応募があり、その一人一人に対して面接を行った場合、せいぜい一日10 ~ 20人が限度です。
会ってみたはいいけど、とんでもない人が来たりすると、お互い時間の無駄ですし、人と会って精査することは割としんどいものです。
この点、履歴書は一枚数分で(場合によっては数秒で)、「面接まで進めるべき人か?」を判断できます。
簡単なチェックリストを作成しておけば、さらに効率的に、機械的にチェックできることになります。
採用担当者は、採用の業務だけを行うわけではないので、できるだけ効率的に業務を遂行したいのです。
もちろん履歴書を熟読して潜在能力を測ることもしますが、正直それは「しんどい」。
集中して文章を読む作業を一日数時間行い、数カ月のスパンで続けることは並大抵のことではありません。
そう考えると、採用担当者が「楽をしたい」と考えても全然不思議じゃないですよね?
(採用担当者がこの文章を読んで「なんて奴だ!」と思われたら、その人の企業は責任を持っている「健全な企業」である可能性が高いです。)
社会の現実
履歴書は「足切り」。とはいえ。
では我々の履歴書を読んで「会う価値なし」と思われて落ち込む必要は全くありません。
とんでもないことですが、採用担当者の読む日の気分で「今日のは全部落とす」ということが発生したりします。
あるいは、
・「句読点の位置が気に食わない」とか
・「履歴書には『Python』経験について書いてあるけど、俺は『Python』が好きじゃない」とか
・「俺は技術オタクが嫌いなんだ」
なんていうとんでもない理由で落とす企業も実際にあります。
「なぜ学生は『社会人』というだけで社内人材の能力を過大評価するのか?」
唯一言えるのは、「会社の中の人に読解能力を期待するな。」「社員の人格に期待するな。」ということは明確に言えます。
そこそこの規模以上の企業であれば優秀な採用担当者が揃っていますが、そうでない人も、もちろんおります。
なので、履歴書の質以外の要素で「お祈り」されることはいくらでもあるので、くれぐれも自分を責めすぎないようにしてください。